2021年に見直しされる「エネルギー基本計画」にどう向き合うべきか

2021年に見直しされる「エネルギー基本計画」にどう向き合うべきか
政府の中長期的なエネルギー政策を示す「エネルギー基本計画」が2021年中に改定されます。国のエネルギー政策には企業の協力が不可欠です。環境対策が避けられない社会情勢のなか、エネルギー基本計画に企業担当者はどのように向き合うべきかを考えます。

エネルギー基本計画とは

エネルギー基本計画とは、2002年に成立・施行されたエネルギー政策基本法に基づき、2003年から作成されるもので、政府によって3年〜4年に一度見直しを行っているものです。「安定供給」「経済効率性の向上」「環境への適合」「安全性」の基本方針をもとに、エネルギーの需給に関わる中長期政策の指針を示します。

現在指針として使用されている第5次エネルギー基本計画では、上の4つの基本方針を強化し、下のようなより高度な目標を掲げています。

  • 安全の革新を図る
  • 資源自給率に加え、技術自給率とエネルギー選択多様性の確保
  • 脱炭素化への挑戦
  • コスト抑制と日本の産業競争力強化につなげる

なぜ企業がエネルギー基本計画に対して行動を求められるのか

エネルギー基本計画は国が策定するものですが、その内容に関しては企業の協力が不可欠なことばかりです。例えば発電事業者や発電所を開発する企業が挙げられます。脱炭素化については、自動車製造業やそれにかかわるサプライヤーがあたります。

資源自給率につては、上のような業種に限らず再生可能エネルギーの導入を進められる企業が当たります。国の指針に対して協力体制を業界全体で取り組むケースもあります。そのようなケースが増えるとコスト抑制や日本の産業競争力の強化へつながっていくシナジーも生まれます。

各企業が取り組めるエネルギー基本計画対策

エネルギー基本計画に関して各企業が取り組めるのは、おもに日常的な活動の中にあります。ここでは自社物件のビルやマンションを保有を想定して、コストをかけずに行う省エネと、設備投資に分けて提案します。

電力全般

<省エネ>

エレベーターを使わず階段を使用することは、従業員の健康維持にも好影響を与えることで良く推奨されています。これは昭和後期にも行われていたことで、日中来客の少ない百貨店などでも、エレベーターの稼働台数を絞って運用していました。またオフィスにおいては、PCやコピー機などにスリープモードを設定しておくことで、節電の効果があります。

<設備投資>

エネルギー基本計画に則した、電力関係の設備投資は太陽光発電システムを始めとする再生可能エネルギーの導入と、使用している電気の見える化ができるBEMS(ビル・エネルギー・マネジメント・システム)の導入などが考えられます。資源自給率の向上とエネルギー選択肢の多様化、脱炭素化にも貢献ができます。

空調

<省エネ>

空調はビルの規模が大きくなればなるほど、省エネに取り組んだ効果が大きくなります。たとえば、有人エリアと無人エリアに分けけエアコンの使用設定を適合させることや、設定温度をエリアの温度に合わせて変更することが挙げられます。また空気を循環さえる工夫をすることで、さらに効率を上げることが可能です。

<設備投資>

空調システムが古い場合は、機種の更新を検討することもおすすめします。家庭用も含めてエアコンは年々省エネ効率が上がっており、すぐに効果が表れる方法です。そのほかに電力供給量を管理できるデマンドコントロールシステムの導入も有効です。

照明

<省エネ>

これは各家庭でも言えることですが、使用していない場所や人のいない場所のこまめな消灯が基本です。広い場所では、照明の間引きなども効果があります。

<設備投資>

照明の設備投資といえばLED照明の導入が代表的です。さらに人感センサーを導入し、自動で消灯・点灯をするシステムを導入することも有効です。

社用車

<省エネ>

社用車をガソリン車をEV車(電気自動車)に順次更新していくことで、脱炭素に貢献することが出来ます。

<設備投資>

太陽光発電システムを導入するなら、EV車に充電するスタンドを合わせて導入し、ゼロコストで充電するシステムを構築することも大きな効果を生むので、将来のための先行投資として検討してみましょう。

指標は2030年までの再生可能エネルギー導入率

2021年に改正されるエネルギー基本計画の原案では、2030年の電源構成目標で再生可能エネルギーが占める割合を36〜38%とされています。現在のエネルギー基本計画では22〜24%とされていますから、約1.5倍に設定されています。

与党・自民党の再生可能エネルギー普及拡大議員連盟(会長は柴山昌彦衆議院議員)では、これよりも高い45%以上の設定を求めているため、改正案の原案はこれと現行計画の中間をとった形です。

2019年度のエネルギー需給実績のうち、再生可能エネルギーのシェアは18%にとどまっています。原案どおりエネルギー基本計画が改正されるとすると、シェア率2倍まで拡充する必要があります。

政府主導で決まるエネルギー基本計画とはいえ、このシェア率拡大をするためには企業も家庭もひっくるめた一般社会の広い協力なくしては達成出来ないでしょう。

省エネに企業がアライアンスを組む事例

栃木県の県庁所在地・宇都宮にある清原工業団地では、東京ガスのグループ会社・東京ガスエンジニアリングソリューションズ株式会社(以下、東ガスES)が軸となり、カルビー、キヤノン、久光製薬の3社がアライアンスを組んで省エネ事業に取り組んでいます。

構成としては、東ガスESが清原工業団地で清原スマートエネルギーセンターを運用し、ガスコージェネレーションシステムと蒸気ボイラから、自営線や蒸気温水配管を使用し3社の工場・事業所に電力と熱を供給。3社の工場からは東ガスESへ収集したデータを渡し、エネルギーマネジメントシステムを通して最適に制御させるシステムです。

これは大きな工業団地だからできる効率的な省エネアライアンスと言えます。

省エネに企業がアライアンスを組む栃木県宇都宮市の清原工業団地の事例
出典:資源エネルギー庁

省エネアライアンスはどんな企業に向いているのか

企業の担当者として注目すべき点は、アライアンスが自社にとってプラスに作用することかどうかです。上述のようなアライアンスは大企業間では好例といえそうですが、中小企業には費用負担や対消費電力コストと見合わない可能性が高いです。

また、中小企業の場合はプレイヤーの入れ替えが激しく、アライアンスの出入りも多くなるため、残った企業で費用分担をするために、コストが途中から上がることも考えられます。そのためには中小企業は単独で行える取り組みに注力するほうが効果的です。

その代表例が自社ビルに太陽光発電システムを導入に節電と売電による収益を得ることです。これであれば、エネルギー基本計画にある「脱炭素」「エネルギー自給率」に貢献することができ、それにともなうCSRの向上とCSRに紐付いたESG投資の誘致も期待できます。

中小企業でもエネルギー施策を

アライアンスは大企業間の好例と書きましたが、大企業の行っている再生可能エネルギー導入施策などは中小企業でも参考にしてみるのは良いことです。「RE100」(事業利用の電力を2050年までにカーボン・オフセットを目標とする企業の世界的イニシアチブ)に参画している企業の再生可能エネルギー導入事例は別の記事でご紹介していますので、参照してみてください。

前章の最後に書いたように、太陽光発電システムの導入などでエネルギー基本計画に貢献することが、企業の成長や今後の事業展開に大きく影響してくるものと考えます。いまだ原案である「第6次 エネルギー基本計画」が策定される前でも、検討してみる余地は充分にあります。

今後、ビジネスでも必須事項となる環境問題の取り組みを自社にプラスに作用させるために、企業担当者は「エネルギー基本計画」をしっかり捉えておく必要があります。

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