大型台風など自然災害の激甚化に備える。電力レジリエンスの必要性

大型台風など自然災害の激甚化に備える。電力レジリエンスの必要性
近年日本では自然災害の激甚災害化が顕著です。2021年は大型台風の襲来こそ免れたものの、大雨による土砂崩れや線状降水帯の多発など、局所的に被害がありました。風水害はもちろん大地震もそうですが、大きな自然災害のあとに問題になるのは、電力や水道などのライフラインの寸断です。

水道は自治体や自衛隊の給水車の救援がありますが、電力やガスはなかなか救援しにくいものです。ただ電力については、自分たちで最小限賄うことが可能です。この記事では、災害時の電力について説明いたします。

電力のレジリエンスとは

みなさんは「レジリエンス」という言葉は聞いたことがありますでしょうか?

2020年代に入ってよく聞くようになったこの「レジリエンス」という言葉はどのような意味をもつのかをおさらいしましょう。英語では “resilience” と綴り、元来は身体的・精神的な回復力や適応能力がある様を指す言葉です。そこから転じて、あらゆるものに対して困難な状態から立ち直る力を指すようになりました。対義語は「脆弱性 “vulnerability”」です。

電力業界でいうレジリエンス(電力レジリエンス)は、自然災害などに起因する停電や社会生活に支障を来たす状態から再起・復帰する意味合いで使用されます。日本においては「エネルギー供給強靱化法(2020年6月成立・2022年4月施行)」を基として現在あちらこちらで整備が進んでいます。

エネルギー供給強靱化法の制定

そもそも日本は、地震や台風・暴風雪などに見舞われやすい場所に位置しているのはみなさんがご存知の通りです。ただし21世紀に入ってからというもの、東日本大震災や熊本地震、北海道胆振東部地震のような大きな地震があちらこちらで発生したり、台風も大型〜超大型のものが襲来するようになりました。「50年に1度」という豪雨などの気象現象も頻発しています。

エネルギー供給強靱化法が制定された前年の2019年には、房総半島を襲った台風15号は955ヘクトパスカル程度の勢力を維持し千葉県千葉市付近に上陸、関東全域特に台風の東側にあたる房総半島では、送電線の鉄塔が2塔倒壊し多く電線が破断され、電力供給ができなくなる事態が発生しました。千葉県下では最大で約64万戸が停電していたと記録されています。この「令和元年 房総半島台風」と命名された台風の被害も考慮に入れ「エネルギー供給強靱化法」が作られたと言われています。

温暖化による自然災害の激甚化

今後このような自然災害は増えていくと予想されています。水文気象災害学の京都大学防災研究所所長・中北英一教授は、朝日新聞出版刊行の「AERA」2021年11月29日号で以下のように語っています。

「気温が上がれば海面温度も上がり、大気に含まれる水蒸気の量も増えるので雨量が増えます。一般的に、大気中の水蒸気量は気温が1度上がるごとに7%増えるとされますが、気温が上がると上昇気流も激しくなり積乱雲が発達しやすくなるため、ゲリラ豪雨のように、水蒸気量の上昇で考えられる以上の豪雨が降ることもあります」
出典:AERA.dot

つまり地球温暖化は、海上で台風が発達するために必要な水蒸気を増やし、台風を強靭化していると言えます。台風だけではなく、多くの積乱雲が帯状に作られる「線状降水帯」のようなピンポイントな豪雨も発生させやすくなり、各地で水害が発生する要因になっているのです。

地震や火山はさすがに温暖化が原因とは言えないですが、最も身近な気候変動はこのようなところに顕著に示されているのです。

自然災害や停電に遭ったとき、復旧するまでに必要なもの

自然災害に被災したとき建物・家屋に被害がなくても、ライフライン(電力・ガス・水道)の寸断により停電し、生活に大きく影響が及ぶことがあります。復旧まで日数を要することもあり、代替えのツールを用意しておくことが防災の面でもとても重要です。

電力に関わることであれば、自治体や町内会などによってはエンジンオイルやガスで動かす発電機を、防災倉庫に入れているところもあるでしょう。ただ燃料を使用してエンジンを動かすので、屋内での使用ができません。

また、自治体・町内会の単位になるとそれ相応の発電機とエンジンオイルの備蓄が必要になります。災害時はガソリンスタンドが被災していなくても、自動車の給油で長蛇の列ができることは、東日本大震災の経験から容易に想像できます。

個人単位であればポータブル発電機・蓄電池など汎用性・携帯性の高いツールを用意している方が多くいらっしゃいます。最近では防災意識の高まりとは別に、アウトドアの流行もあり、商品のラインナップも増えています。ただ電力をその場で作れないタイプは、復旧までの日数を考えると、心もとない部分もあります。

そんなときに役に立ったのが住宅用太陽光発電です。令和元年(2019年)の房総半島台風(台風15号)で被災した一般家庭の例を挙げます。

太陽光発電や蓄電池があれば急場をしのぐことが可能

上述した通り「令和元年 房総半島台風(2019年台風15号)」は、多くの地域に停電をもたらしたわけですが、そんななかでも日中や夜間に電力を融通できていた家庭があるのはご存知でしょうか。

住宅用太陽光発電は連系線(電線)が使用できないとき、自立運転機能を利用して家庭内で発電した電気を使用することが可能です。調査対象の約8割の太陽光ユーザー(非蓄電池併設)が自立運転機能を理解して使用していたとの結果も出ています。

上述の8割は「非蓄電池併設」ユーザーで、FIT制度による余剰売電主体で導入したユーザーだと考えられます。もし蓄電池を併設、もしくは家庭用蓄電池単体でも設備があれば、不測の事態でも、蓄えた分だけですが24時間365日、いつでも好きなときに電気を用いることが可能になります。

防災の観点から電力を見てみると、人によっては普段使用しないものが多くあると思います。来たるべき激甚災害に備えるためにもここで一度、太陽光発電・蓄電池・発電機などを比べ、使用する場所や規模に合わせて、電力の災害対策全般を見直してみてはいかがでしょうか。

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