追随べき住宅業界の「RE100」加盟企業が行っている取り組み

追随べき住宅業界の「RE100」加盟企業が行っている取り組み
環境問題に取り組むうえで、必ず耳目する言葉のひとつに「RE100」があります。この記事ではその「RE100」についての説明と、その「RE100」に加盟している住宅業界の企業が行っている環境問題への取り組みをご紹介します。

RE100とは

イギリスに本拠地を置く国際環境NGO「The Climate Group(TCG)」と、世界の企業が行う環境活動の情報分析や評価を行うNGO「CDP」が運営する、国際的ビジネスイニシアチブです。

「RE」は”Renewable Energy” つまり再生可能エネルギーを指し、「100」は企業活動で使用する電力全体を示しています。合わせると「企業が事業で使用する電力を全て再生可能エネルギーで賄う」ということを指しています。

2021年7月現在で「RE100」に加盟している日本企業は57社、世界全体では300社以上加盟しています。日本企業のうち、建設業や不動産業、住宅・住設業界に関わる企業は57社中20社あります。

積水ハウス株式会社 大和ハウス工業株式会社 芙蓉総合リース株式会社 戸田建設株式会社 大東建託株式会社 東急不動産株式会社 アセットマネジメントOne株式会社 旭化成ホームズ株式会社 ヒューリック株式会社 株式会社LIXILグループ 株式会社 安藤・間 三菱地所株式会社 三井不動産株式会社 住友林業株式会社 株式会社 ノーリツ 株式会社村田製作所 いちご株式会社 株式会社熊谷組 東急建設株式会社 TOTO株式会社 (加入順)

日本からRE100に加盟するためにバックアップしてくれるのが 日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JAPAN CRIMATE LEADERS’ PERTNERSIP/以下JCLP)で、RE100に参加するための諸手続きや参加企業の活動事例を紹介するなどを行っています。

RE100に似たほかの用語

EP100

EPは “Energy Productivity”の略で、エネルギーの生産性、つまりエネルギー利用の効率化を指します。100は100%で、省エネ効率を50%改善することなどを目標に掲げる企業が参加するイニシアチブ。運営はRE100と同じTCG。

SBT(Science Based Targetsの略)

日本語では「科学と整合した目標設定」。温室効果ガス削減目標のひとつで、指標は2015年にCOP25で採択されたパリ協定の『2℃目標』で、この目標が示す社会実現に寄与する目標設定を促進するための枠組み。

RE100に加入すると得られるメリット

まずメリットを説明する前に加入条件から確認します。RE100は国際的イニシアチブということもあり「主要な多国籍企業」「全世界的にまたは本国内で認知度・信頼度が高い」「RE100の目的に寄与できる、なにがしかの特徴や影響力がある」ことが挙げられています。

さらに日本企業の場合は「消費電力が50GWh以上(JCLP見解)」という基準になっていて、主に大企業向けのものになっています。しかし、このようなハードルがあるにせよ、加入して得られるメリットは複数あります。

まずは将来的にエネルギー供給を安定させられる点です。とくに価格面で大きく影響すると考えられます。現在日本の主力発電所は火力発電です。しかし化石燃料は有限であり、地政学的に不安定な場所が供給元となっていることも相まって価格高騰が予想されています。

そのようなコスト上昇リスクを、再生可能エネルギーを用いることでヘッジできることが考えられます。

本当のメリットはESG投資誘致

次に大きなメリットとして投資の誘致ができることです。このところ頻繁に聞くようになったESG投資は、オーストラリアのシドニーに本拠地を置く世界持続可能投資連合(Global Sustainable Investment Alliance/GSIA)の調査によれば、2018年度における世界のESG投資額は約30兆6,800億USドル(110円換算で約3,374兆8,000億円)まで膨らんでいます。2020年度の日本の国家予算が約107兆円なので、その規模の巨大さが解ると思います。

このような巨大規模のマーケットから投資を引き込めるとなれば、エネルギーのコストリスクよりも大きな効果と言えるでしょう。

では中小企業はどうでしょうか。RE100の基準を満たさないといって、これを看過するわけにも行きません。なぜならRE100を始めとする環境イニシアチブやESG投資誘致を目指す大企業は、取引先の環境問題に対する取り組みを意識するからです。

別の記事で紹介したトヨタ自動車が好例で、取引先のサプライヤーにも、温室効果ガス削減の努力目標を設定しています。つまり中小企業も環境問題やRE100に準じた取り組みを行うと、取引先や取引量の増加が見込めるのです。

住宅業界が実行している取り組み

では、実際に上述した20社の住宅・住設メーカーのなかから、5つの取り組みをご紹介します。

LIXIL

住設機器最大手のLIXILは、事業プロセスにおいて再生可能エネルギーの活用と省エネ設備の導入、工場排熱を利用した効率化を実施しています。企業全体としては「環境ビジョン2050」を掲げて、2050年までに全てのチャンネルで二酸化炭素排出量をゼロにすることを目指しています。また水回り製品を扱う会社として「水の持続可能性」についてもポイントとしています。

大和ハウス工業

住宅メーカーの大和ハウス工業はゼロ・エネルギー・ハウス(以下ZEH)を拡販しています。ZEHとは家で消費する年間のエネルギー(一次消費エネルギー)をおおむねゼロ以下にする建物を指します。戸建てだけでなく、賃貸住宅や分譲マンションでも推進(ZEH-M)していて積極的な活動を推進しています。

長期ビジョンとしては「Challenge ZERO 2055」と題し、脱炭素社会の実現に向け徹底した省エネルギー対策を推進しています。2055年を究極のゴールと設定し、温室効果ガス削減量を売上高あたり2015年比で70%削減を目標値として設定。再エネ利用率100%は2040年に達成を目指しています。

旭化成ホームズ

「ヘーベルハウス」シリーズで有名な旭化成ホームズは、建築した建物に搭載した太陽光発電で生産され余剰となった電気を買い取る「ヘーベル電気」をサービスとして提供しています。ヘーベル電気が買電した電気は、旭化成ホームズが自社施設で使用。自社の再エネ利用率を高めています。

その活動を含む全体の目標として、2038年までに年間で34,000MWhの消費電力を太陽光発電による再生可能エネルギーで賄うことと設定しています。旭化成グループはこれまでも、太陽光発電の積極的推進を行ってきました。その結果として限られたスペースに可能な限り太陽光パネルを搭載する技術開発も結実しました

積水ハウス

2019年度の売上高ベースで住宅メーカー第2位の積水ハウスは、2009年に「グリーンファースト」という環境配慮型住宅をリリースし、2013年にはネット・ゼロ・エネルギー・ハウス「グリーンファーストゼロ」をリリース。環境配慮型製品について住宅業界のパイオニア企業です。

その積水ハウスはグループ全体で、2016年に広い事業領域で「サステナビリティビジョン2050」を策定しました。パイオニア企業らしく「脱炭素社会への先導」を掲げ、化石燃料に依存せずエネルギーの質が高い、安全に生活できる社会作りを目指しています。

大東建託

土地活用・アパート建築・アパートリーシング(いい部屋ネット)が主業の大東建託は、RE100だけでなく、事業で使用するエネルギー効率を倍増させることを目標としている「EP100」にも加盟しています。同社グループはRE100、EP100と「SBT」の取り組みを連系しながら脱炭素社会を目指しています。

大東建託では、2040年に目標期限を設定し、事業活動の消費電力を100%再生可能エネルギーに転換することを掲げています。賃貸住宅が主力の同社は、賃貸住宅とセットで太陽光発電システムを広めることで、再生可能エネルギーの発電量を確保し、普及促進に貢献しています。

参考にすべき企業の施策

上述した各社の施策で注目していただきたいのは旭化成ホームズの施策です。自社ビルの太陽光発電導入のみまらず、顧客の住宅にも太陽光発電を搭載する商品を展開し、再エネ使用率を上昇させている点と、副次的に発生する余剰電力の売電による電力売上収入が発生する点です。

エネルギーに関する脱炭素施策を考えると「化石由来の電力を使わない=再生可能エネルギー由来の電力に切り替える」となりがちですが、旭化成ホームズのように自社で導入することや自社サービスに添付することで、副次的収入を生むことも可能であることを証明した好例です。

このように環境配慮型社会貢献と自社のCSR向上、さらに副収入をつくるという「メリット多産型」の構図を構築することで、企業が痛手を負うような環境保護をさけることが可能です。

国際的にSDGsやESGに取り組む重要性が、企業の大小を問わず日に日に高まっています。再生可能エネルギーの利用のみならず、都市にも適応しやすい太陽光発電を導入することで、マンション・アパートの経営にも好影響をもたらす施策が可能です。

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