なぜ日本国内のSDGs研究論文はゴール7とゴール13が多いのか

なぜ日本国内のSDGs研究論文はゴール7とゴール13が多いのか
コンテンツやデータのアナリティクスでSDGsに貢献すると公言しているオランダの「エルゼビア」社のプレスリリースによると、過去5年間、全世界で展開されたSDGs関連論文は410万本。 日本で発表された論文で特段多かったのはゴール3「すべての人に健康と福祉を」、ゴール7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」そしてゴール13「気候変動に具体的な対策を」でした。この記事では、論文量の偏りに関する考察とゴール解決の糸口を考えます。

日本は「長寿」「格差」そして「炭素」の国

ゴール3に関わるとすれば「長寿」「格差」。WHOが2020年に公表した世界男女平均寿命ランキングで日本は香港と並んで堂々の1位。85歳でした。

出処:UNFPA 世界人口白書2020年版

格差に関しても厚生労働省が発表している2019年のデータによれば、相対的貧困率は15.7%とOECD加盟国内でも悪いランクで、ともに社会問題として認識されているので論文が多いのもうなずけます。

出処:https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/17/backdata/01-02-01-18.html

もうひとつは「炭素」の国。言い換えれば「化石燃料の国」。日本は過去に何度も「化石賞」なる不名誉な賞を受賞しています。一番近いところで言えば2019年のCOP25(第25回 国連気候変動枠組条約締約国会議)、逆のぼれば2013年のCOP19、1999年COP5などでも受賞しています。下の表を見れば中国、アメリカ、ロシア、日本の順に二酸化炭素排出量が多いことが分かりますが、国土の広さを考慮すると、日本の多さが目に付きます。

世界のCO2排出量の推移
出処:エネ百科 https://www.ene100.jp/

それだけ世界から日本は化石燃料を燃やし続けて、温室効果ガスや気候変動に関わることの解決をしない国だと認識されているのです。御存知の通り、化石燃料を炊けば発生するのは、温室効果ガスとしてもっとも有名な二酸化炭素です。

これは冒頭で「日本で特段多い論文数が出ている」とお話したゴール7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」にも、ゴール13「気候変動に具体的な対策を」にも関係する重要な課題です。

気候変動を認識せざるおえない事象の発生

しかし、問題ゴール13の問題である「気候変動」について実際のところ影響はでているのでしょうか。気象庁が日本国内で発生した異常気象の要因分析しているものに下記のようなものがあります。

  • 2020年7月の記録的大雨・日照不足
  • 2020年初頭の暖冬傾向
  • 2019年12月の高温少雪
  • 2018年7月豪雨
出処:気象庁 https://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/longfcst/extreme_japan/index.html

ここには上がっていませんが、毎年夏になれば猛暑日が続いたり、2019年に千葉県を襲って鉄塔をなぎ倒した強力な台風15号だったり、熊本地方を襲った大雨で球磨川が氾濫したことなど、みなさんの記憶をたどれば身近な事象も多くあると思います。

また、関連して災害の際に起きる被災地や周辺地域での停電への対応も考えるべき重要な問題です。被災時に一般家庭が電気無しで生活するのは3日が限度だと言われています。

東日本大震災時の停電は最長7日間。2019年の台風15号での千葉県の停電は最長15日間かかっています。

NHKの『NHKスペシャル「2030 未来への分岐点」』では、このまま地球温暖化が進んでいくと東京の猛暑日は今より約4倍に増加したり、日本の砂浜は海面上昇で9割消失、夏のオリンピックもアジア圏内では標高800m以上の2都市(ビシュケクとウランバートル)でしか開催できなくなると放送しました。

気候変動対策やクリーンエネルギー対策で生まれたビジネスチャンス

ここまで書くと途方もないことだと感じる人もいると思いますが、SDGsのゴール7やゴール13を2030年までに解決、引いては菅義偉首相が宣言をした2050年カーボン・オフセットを実現するには、ビジネスとして大きなチャンスが残っていることを示唆します。

例えば電力関連で言えば、発電しかり電力供給しかり、さらにはその設備もすべてビジネスとして扱えるからです。ビジネスということは投資対象にもなり得ます。環境(と社会・企業管理)に適した運営を行う事業体に対して行われるESG投資が好例です。

マンションやアパートなどの集合住宅を建設・販売・運営をするのであれば、以下のようなう認証制度があります。

  • DBJ グリーンビルディング認証(略してGB認証)
  • BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)
  • eマーク (省エネ基準適合認定・表示制度)
  • CASBEE評価認証制度
  • LCCM住宅認定

代表的な例としては、DBJ グリーンビルディング認証(略してGB認証)を取得。すると日本政策金融公庫から低金利で借り入れを行うことが可能になったり、BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)の認証を受ければ、ランクによって補助金制度などを受けられるようになります。その様々な認証を得ることで社会的信用があがり投資の呼び込みが進むことも考えられます。

上昇の一途を辿っている消費者のSDGsに対する認識

ビジネス界でのそういった傾向から、販売・集客においてもSDGsを意識した商品は注目度があがることが考えられます。電通が発表した、第4回「SDGsに関する生活者調査」では、コロナ禍になる前に行われた前回調査(2020年1月)よりもSDGs認知率が29.1%から54.2%と25.1%増となり、一般消費者層にもかなり浸透してきたことが分かります。

なかでも注目したいのが、『「SDGsに関する商品・サービス」今後の利用意向』にある「自然エネルギー率の高い電気事業者」を選択したいとした人が21.8%(前回10.4%)と倍増したことです。

出処:電通調査 https://www.dentsu.co.jp/news/release/2021/0426-010367.html

日本特有の事情としては2011年の東日本大震災で発生した、東京電力福島第一原子力発電所の事故がありますが、電力事情によって地球温暖化や自然破壊が進んでいることを、消費者はしっかり認識している証左です。

不動産業に対する影響

今後、賃貸でも分譲でも、電力サービスの内容が、入居あるいは物件購入の選択をするための要素として認識されてくることは間違いでしょう。気候変動やクリーンエネルギーが日本にとって大きな問題点であることを示した論文数の多さは、ビジネスチャンスに比例しているような動きがあります。

そういった論文においても「ESG・SDGsの配慮が不動産の価値に及ぼす影響」や「集合住宅における光環境の設計によるCO₂排出量の削減 (2050年脱炭素社会の実現に向けて建築・照明分野から考える)」など、少し調べただけでも不動産とESG・SDGsが関わる論文が簡単に見つかります。

今後のビジネスにおいて、論文をヒントに環境などへの対策をするのも良い方法です。

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