企業担当者が抑えるべきSDGs融資の基本

企業担当者が抑えるべきSDGs融資の基本
国連で2015年に採択された「SDGs(持続可能な開発目標/Sustainable Development Golds)」は、このところ民放地上波でも特番が組まれて取り上げられるようになり、日本においても広く浸透し始めました。 企業としては予算と費用対効果がどれだけのものになるのか、不明瞭な点も多くあり、手を付けられない会社もあるでしょう。では逆に、融資を受けるための活動と捉えたらどうでしょうか。ここではSDGsに貢献することと融資の関係をご説明します。

SDGsに貢献すると融資を受けやすくなる

「SDGs・ESG投資の基本」でご説明したようにSDGsとは、広く一般社会をカバーする目標が17個あります。内容もESGと被る部分も多く、とりわけ日本においては「脱炭素」「気候変動対策」「温室効果ガス削減」というようなキーワードが注目されています。

「SDGsに貢献する事業活動に対して、大手銀行のみならず地方銀行においても融資などが活性化されています。

「大手銀行ではみずほ銀行が「エコロ」の名称で環境配慮型融資をリリースしています。利用要件として資金用途ごとのエコ認定を満たしていることが必要です。例えば運転資金用とであれば、ISO14001などの外部認証を取得していることなどを要件としています。

「三菱UFJフィナンシャルグループ(MUFG)では、三菱UFJ銀行を窓口として、「MUFG グリーンボンド」の発行などを行っています。「グリーンボンド」についてはこの記事の後半で取り上げていますので、そちらを合わせてお読みください。

「地方銀行において、SDGsの先駆けとなったのは滋賀県の滋賀銀行です。滋賀銀行は早くから経営理念に「SDGs宣言」を掲げ、広く金融商品を展開してきました。

「現在はSDGs私募債「つながり」を展開し、私募債の発行金額の0.2%相当の寄贈品を学校や公益法人へ贈呈する仕組みを提唱しています。このことにより、私募債発行企業も滋賀銀行もSDGsの「No.4 質の高い教育をみんなに」、ESGでいうところの「S:社会貢献」に寄与することができます。

「もう一行ご紹介すると、福島県を中心に営業する東邦銀行もそのひとつです。こちらは「ESG/SDGs貢献型融資」というサービスを展開しており、SDGs/ESGに関わるさまざまな資金ニーズに応じています。これを利用すると。通常金利より最大で0.2%引き下げられ、最長20年間の融資を組むことができます。

「このように、SDGsに関連した金融サービスを受けることで、CSRの向上が図れたり、有利な条件で融資を受けることができるなど、メリットが生まれています。このような融資に対して積極的に後押ししているのが、国連環境プログラム財政イニシアチブで、PIF原則というものを提唱しています。

国連が提唱するPIF原則

SDGsの提唱元である国連では、SDGsに紐づく金融関連の活動として、国連環境プログラム財政イニシアチブ(United Nations Environment Programme Finance Initiative/UNEP FI)という座組で、ポジティブ・インパクト金融原則(Principles for Positive Impact Finance/以下「PIF原則」)を策定し、「定義」「枠組み」「透明性」「評価」の4つの原則を、世界各国の金融機関に資金提供のあり方として提唱しています。

日本においてもPIF原則をもとに、前節でご説明したような金融サービスを設定し、融資やサービスの展開が行われています。日本三大メガバンクのひとつである三井住友銀行は、PIF原則適合型の資金調達サービスを提供しています。このサービスを利用して活動している不動産関連企業に、「RE100」にも参画している、いちご株式会社が含まれます。

本業以外も評価に含まれる金融サービスの審査

ここまでご紹介したSDGsに関連する金融サービスは、所定の審査があるのはもちろんのことですが、その企業の本業でなければならないという規定はありません。たとえば、農業を行っている企業が営農型太陽光発電や小水力発電を導入したり、不動産業界であれば屋根や屋上に太陽光発電を設置したり、EVステーションを設置したりすることなどが考えられます。

このように本業ではないけれど、本業の収益増加とSGDsのいずれかのジャンルに貢献できるようなシナジー効果を生む事業展開であれば、融資条件だけでなく企業経営もより有利に進めることができますし、SDGsに貢献する企業として企業価値そのものの上昇も考えられ、とても有意義な融資になると言えます。

かつては無借金経営企業がもてはやされた時代もありましたが、このような計画的かつ効率の良い融資の受け方をする企業が、今後王道になっていくことが予測されます。

企業自身や自治体が発行する環境債「グリーンボンド」

ここまで銀行のサービスを軸にご説明してきましたが、そのなかにあった私募債ににているもので、環境問題に関わる事業のための資金調達のために発行されるのが「グリーンボンド」です。企業だけでなく東京都などの自治体なども発行している環境債です。

上で紹介してきた銀行サービスは、融資元と事業者が主にSDGsあるいはESGに貢献する形でしたが、グリーンボンドに関しては、事業者と債券保有者(投資家)がそれぞれに貢献することが可能になり、事業の資金調達からアウトプットまですべてがESGやSDGsへの貢献になります。

不動産業界の発行の参考事例として「日本リテールファンド投資法人」をご紹介します。2018年5月に80億円分のグリーンボンドを発行しています。これによって得た80億円は「不動産物件のうち、一定の環境基準を満たすグリーン適格資産の取得資金及びその取得に要した借入金の借換等」に用いるために発行されました。

不動産関連でもう1件、2018年10月にANAホールディングスが発行しています。航空会社が不動産と思われるかもしれませんが、このときのグリーンボンドは、自社所有のパイロット訓練施設に太陽光発電を設置し、グリーンビルディングとして新設するために発行しています。当時、航空会社として世界初のグリーンボンド発行でした。

ANAはこのグリーンボンドによって創エネ、省エネの両軸からエネルギー消費量を33%減らし、CASBEEの自己評価Aランク相当の成果を上げる想定です。

SDGsは早めに着手を

ここまでSDGsの融資に関して早足に大まかに説明いたしました。

あなたのビジネスに役立つヒントはございましたか?

SDGsの目標達成期限は2030年です。この記事を書いている時点で残りがあと9年半。時が経つに連れ、社会の注目度は加速度的に上がっていくことでしょう。ぜひに及ばず中期の経営計画として、是非取り組んでいただきたい課題です。

下記の記事でも書きましたが、自社にできることからスタートすることと合わせて、融資で利益と環境活動とのシナジー効果を生む事業展開をすることで、会社の成長や拡張に拍車がかけられるようになります。これを機に前向きに検討してみてはいかがでしょうか。

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