法人の電力切り替え メリット・デメリット

法人の電力切り替え メリット・デメリット
段階的に進められてきた電力自由化。2016年に小売電力の分野まで自由化され、一般家庭の電力切り替えが始まりTV CMなども放映されるようになったことで、企業の担当者が再認識したというケースもあるでしょう。 では果たして企業体の電力切り替えは切り替えたほうがお得なのでしょうか。この記事では法人が電力を新電力に切り替えたケースのメリットとデメリットを考えていきます。

電気代削減につながる電力自由化とは

2000年3月から段階的に進められてきた電力自由化。一番はじめに解禁されたのは、特別高圧(略して特高)区分で、大規模施設が対象でした。その4年後とさらにその翌年(2004年〜2005年)には自由化範囲拡大が行われ高圧区分に該当する中小規模施設までが自由化されました。

そこからしばらくした2016年4月から全面自由化され、一般家庭を含む全てのユーザー(電力用語では需要家という)に対する電気の販売が解禁されました。これにより、需要家が電力会社や料金プランなどを比較検討して自由に選べるようになりました。2021年6月時点で新電力の登録企業数は全国で727社にものぼります。

ご存知の通り、ガス会社がガスとセット割を組んだり、携帯電話キャリアが通信料とセット割を組んだりと、あらゆる異業種企業が電力小売事業に参入しており、現在は各社がサービスや割引でしのぎを削っている状態です。

PPSとは新電力と同義語

新電力について調べている企業の担当者ならご存知かもしれませんが、この手のものを調べていると出くわすのが「PPS」という言葉です。PPSとはPower Producer and Supplier の略で、「特定規模電気事業者」のことを指します。ここまで説明で使用してきた「新電力」と同義語です。

自由化前まで電力を供給していた東京電力など地域別10社の旧一般電気事業者(2016年3月まで、法律上の一般電気事業者)も電力供給部門と送配電(電線管理など)を、「東京電力エナジーパートナー(電力供給)」「東京電力パワーグリッド(送配電)」分割しました。

旧一般電気事業者とほとんどの新電力で異なる点は発電設備を保有しているか否かです。発電設備を保有していない新電力は、日本卸電力取引所(JEPX)を通じで電力を調達したり、発電事業者と相対契約を行って電力を調達したりします。

電力調達の段階で、再生可能エネルギーを調達し供給することで、SDGsや国のエネルギー基本計画に貢献するという企業へ向けて販売する動きが高まっており、「RE100」加盟企業だけでなく、社会全体で注目が集まっています。

これまでの通例として、大手電力会社と継続して契約してきた企業は、新電力と契約することを検討したことがないかもしれません。この先、新電力に乗り換えるならば知っておくとお得なことがあります。法人にとって新電力のメリット、デメリットはどんなものがあるか見ていきましょう。

法人電力切り替えのメリット

メリット1:電気代の削減

法人の電力切り替えにより一番のメリットはスケールメリットです。大量の電力を消費していればしているほど、節約できる電気代も大きくなります。オフィス単位であれば年間数十万、病院や中小規模の商業施設などでは数百万単位、大きな工場であれば操業に莫大な電力消費をするので数千万円、場所によっては億単位の削減につながっている例もあります。

このケースでは、会社や施設の規模にもよりますが、決算にも有利に当たらきます。電気代の削減は売上増加ではなく支出の削減になりので、売上高でなく営業利益に直接響き、純利益増加に繋がります。

株式市場に上場している会社であれば1株あたりの配当の増加、そうでなくても決算書の好転による金融機関評価が上がります。実際、電力比較サイトの「エネチェンジ」によれば、法人が電力切り替えによる電気代削減率は、15.1%にもなっています。

メリット2:会計処理の一本化

会計処理も楽になるケースがあります。旧一般電気事業者との契約をそのまま継続している企業で、全国に拠点が分散している場合、例えば北九州工場の電気代は九州電力、苫小牧工場の電気代は北海道電力、大阪支社の電気代は関西電力と分散したままでしょう。

新電力に乗り換えることで、各社に分散していた請求処理も一本化することが可能です。ただしこのメリットは新電力により可否が分かれます。自社の施設所在地が、乗り換える新電力の供給地域に該当するかの確認と、請求書一本化が可能化どうかを乗り換える前に確認することが大切です。

法人電力切り替えのデメリット

デメリット1:比較検討の対象が多すぎる

一方で、デメリットとしてすぐに挙げられるのが、新電力の数が多すぎて比較検討がしにくいと言うことです。上述の新電力としての登録者数は727社にものぼります。各社いくつかのプランを提供していることを考えると1400以上のプランを比較検討することは大変難儀です。

デメリット2:新電力会社の倒産や撤退

さらに新電力へ新規参入が増えてくると過当競争のおそれがあり、倒産や撤退の可能性も増大します。現実に2021年3月には F-Power が会社更生法の適用を受けています(事業は継続中)。また2018年8月には福島電力が設立2年で破産手続きを行っています。

ちなみにこのようなケースの場合、電力切り替えまでの手間が無駄になりますが、電力供給が停止することはありません。それは法律において旧一般電気事業者の電力供給部門(東京電力エナジーパートナーなど)が、万が一の場合に備えて供給義務を負っているからです。また倒産・撤退する会社も、2週間程度前までにその旨を予告する義務も負っています。

デメリット3:必ず安くなるわけではない

もう1つ注意したいのが、電力切り替えを行ったからといって確実に安くなるというわけではない点です。とくに法人の場合はすでに自由化されてから20年経っています。すでに安価に供給を受けている可能性があるので、しっかりと相見積もりを取り削減額を確認することが肝要です。

相見積もりを取らずに、どこかの紹介などで切り替えた場合、契約期間のしばりがあったり違約金の発生などの可能性があります。付き合いのある代理店の紹介などは、電力会社とインセンティブによる紹介料契約をしている場合が多く、見合わないプランの紹介をされる場合もあり、とくに注意が必要です。

新電力に関するよくある不安・疑問

ここまで、新電力に切り替えるメリットとデメリットを紹介してきましたが、最後に新電力に関してよく持たれている疑問をや不安なポイントを解説します。

(1)新電力に切り替えると停電が心配

新電力に切り替えても停電が頻発することはありえません。新電力が使用する電線は大手電力会社の送配電部門のものを使うので品質にも変わりありません。(※一部自己託送・自営線を除く)

(2)契約した新電力が倒産した場合の送電停止

前章でご説明の通り、法律において旧一般電気事業者の電力供給部門(東京電力エナジーパートナーなど)が、万が一の場合に備えて供給義務を負っているので、電力供給が途絶えることはありません。

(3)電力会社切り替え時の工事

スマートメーター(デジタル式の電気量メーター)に付け替えられていない場合は、付替え工事が発生する場合がありますが、大規模な工事の必要はありません。

(4)切り替え手続きの方法

インターネットで申込み完結のケースが多いですが、書類のやり取りでも記入・捺印だけで済みます。そのほかの手続きは新電力会社が処理します

(5)テナントビルから電気代の請求が来ている場合

この場合、建物全体で一括受電という方式をとっているので、電力会社の切り替えが出来ません。電力会社とテナント間で直接契約している場合は、切り替えが可能です。

電気料金は今後、LNGガスや石油などの資源価格の高騰に合わせて価格上昇が見込まれます。電気代削減は決算書に好影響をもたらし会社の評価上昇にもつながるので、前向きに検討しましょう。検討する際は切り替えた場合、自社の電気代がどのくらい下がるのか、契約内容はどのようなものなのかをしっかり確認した上で切り替えましょう。

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