マンションの屋上に太陽光を設置する工法 〜屋根は耐えられる?風は大丈夫?

マンションの屋上に太陽光を設置する工法 〜屋根は耐えられる?風は大丈夫?
マンションなどの屋上(以下、陸屋根)に太陽光発電システムを設置する場合、様々な工法があります。近年、安全性や価格面などで多くは縁石工法(=置き基礎)を使用しますが、縁石工法はコンクリートの塊ですから、当然重量があり防水への影響も気になります。 この記事では陸屋根に太陽光発電システムを設置する場合のそれぞれの工法の違い、メリット・デメリット、そして万が一太陽光発電設備が飛んでしまったら?といった問いにお答えします。

陸屋根に太陽光パネルを設置する方法

陸屋根に太陽光パネルを設置するには、以下の3つが代表的な工法になります。

アンカー工法

まずアンカー工法ですが、これは野立て太陽光発電所(地面に設置されている太陽光発電所)にも用いられる工法です。パネルに角度を付けられたり高さをつけることができるので、雨や積雪の心配の必要が軽減されます。

しかしながら、土地に設置するのと同じように、高脚架台の基礎部分は穴をあける必要があるので、建物に漏水のリスクが増えてしまうのです。新築設計時から想定に組みこまれていれば、漏水の心配もとても低く見積もれますが、既建物件の場合は損害がでてしまう可能性があるので、あまりおすすめできません。

接着工法

2つ目は接着方法と呼ばれるアンカーいらず・架台いらずの工法です。陸屋根に直接接着する方法で、パネル周囲も板金で覆うため、非常に強固な設置方法になります。アンカー工法で架台を用いるのとは違い、風の影響は受けにくい工法です。

ただし非歩行仕様に作られた陸屋根には設置できませんし、強固な接着剤で固定するため、陸屋根の定期点検や防水作業などを行う際は、移動に時間がかかリます。また防水も手法によっては接着工法を利用することができません。さらに、パネル同士の間隔に基準があるため、通常よりも設置枚数が少なくなることがあり、非効率な面があります。

縁石工法

当社で採用している、こちらもアンカーいらず・架台いらずの風の影響は受けにくい工法です。路肩にある縁石を想像していただければ分かりやすいと思いますが、直方体の縁石を等間隔に並べ、パネルを縁石に金具で固定する方法です。デメリットとしては縁石1個あたりの重さが10〜20kg程度あるので、屋根にそれ相応の荷重がかかります。

マンションに設置されている非歩行の陸屋根の耐荷重は、建築基準法施工令第85条第1項によって600N/㎡とされています。置き基礎を使用した縁石施工では、置き基礎ブロックのサイズにもよりますが、基礎自体が50㎏/㎡となることもあり、パネルも含めると平米荷重は60kg/㎡(=600N/㎡)となります。

この600N/㎡は地震力算出用の積載荷重ですので、平時でも災害時でも基準をクリアしていることになります。

※横にスクロールできます
部屋の種類 床設計用の積載荷重 架構設計用の積載荷重 地震力算出用の積載荷重
住宅の居室、住宅以外の建築物の寝室または病室 1800N/m2 1300N/m2 600N/m2
屋上広場又はバルコニー 上の数値による

ただし、屋根に穴を開けることがないので漏水の心配もなく、パネルは金具固定で取り外しに大きな時間を割く必要がないので、屋根の定期点検や防水処理を行う際に、一番都合のよい工法と言えます。

当社で使用している縁石工法用の基礎について

ソラシェアダイレクトで採用している縁石工法用部材「らくらく置っくん」

当社が採用している縁石工法用の基礎(「らくらく置っくん」:株式会社動力製)は、パネルや縁石が風に飛ばされたり破損したりしないよう、以下のような設置基準が設けられています。

<地域について>

  • ① 基準風速 38m/s 以下の地域
  •       
  • ② 地表面粗土(そど)区分が II、III、IV の地域
  •  
  • ③ 垂直積雪量が 100cm以下の地域
  •  

<設置する建築物について>

  • (a) 暴風・多雪などを考慮した標準的構造
  •  
  • (b) 30m以下の建物
  •  
  • (c) 耐震クラス B以下の建物
  •  

上述の「地域による条件」を順に説明いたします。

まず①の基準風速は「平成12年(2012年)建設省告示第1454号」によって建築基準法に定められた風速基準です。風速基準の計測方法は10mの高さで10分間計測した風速の平均を表しています。

基準風速が38m/sを超える地域は非常に少なく、沖縄や鹿児島の奄美や大隅・薩摩半島の南部、高知県の室戸岬、伊豆諸島などに限られています。ですので、本州のほとんどの部分が基準をクリアしていることになります。

「平成12年(2012年)建設省告示第1454号」によって建築基準法に定められた風速基準

地表面粗土区分と垂直積雪量とは

②に挙げた「地表面粗土区分」は建築基準法に規定された、その土地の地表面の粗さを示す基準です。地表の粗さは風圧力の算定に用いられるもので、地表面が荒くなければより風の強さが増す(障害物がない)ということになります。

<地表面粗土区分 概要>

  • I 都市計画区域外にあって、極めて平坦で障害物がないもの
  • II 都市計画区域外にあって地表面粗度区分Ⅰの区域以外と、都市計画区域内にあって地表面粗度区分Ⅳの区域外の区域のうち、海岸線又は湖岸線(対岸までの距離規定あり)までの距離が500m以内の地域
  • III 地表面粗度区分Ⅰ、Ⅱ、Ⅳ以外の区域
  • IV 都市計画区域内にあって、都市化が極めて著しいものとして特定行政庁が規則で定める区域

このような区分がされているので、多くビルやマンションが立ち並ぶ、都市計画がある都市部はほぼ IV に属することが多いですから、概ね設置に問題はありません。逆に I の区分は北海道の牧場や草原をイメージしてもらうとわかりやすいです。

垂直積雪量に関しても建築基準法に定められたもので、全国 423 地点で収集された積雪量データを、標高などを掛け合わせて想定値を算出したものです。これは各都道府県・市区町村で細分化されているので、物件所在地の数値をご確認ください。

もし万が一、風でパネルや基礎が飛んで周囲の建物に被害が出てしまったら?

当社では上述の施工基準を基に安全を第一に施工をいたしますが、万が一風で太陽光発電の部材が飛んでしまった場合は、以下の基準で対応をいたします。

  • (a) 自然災害(想定外(法定外)の風量によって飛ぶもの)
  • (b) 施工不良により飛ぶもの
  • (c) 架台不良により飛ぶもの

(a) の場合は、自然災害保険を利用して修理をいたします。ただし施工や部材に瑕疵がなければ第三者に対する補償はありません。 (b) の場合は、当社の賠償責任保険で修理を行った上、第三者に被害が出た場合は補償も行います。 (c) の場合は架台メーカーのPL保険によって修理をし、第三者に被害が出た場合は補償も行います。

以上のような対応を基準に行います。導入をご検討中で、詳細のご確認をご希望の方は、ぜひ一度お問い合わせください。

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